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童話【あずみのお留守番】

題:【あずみのお留守番】 作:結 麻月



小さなあずみは、ある日、ママからお家の鍵を預かりました。
ママはこれからお出かけなので、今日はあずみ一人でお留守番です。
一人きりのお留守番は初めてです。
寂しくて怖いけど、あずみは、その初めてに少しドキドキもしています。

「いい? あずみ、外を変な人がうろついてもドアを開けては駄目よ」
「うん。わかった」

出かける準備をするママは、見上げるあずみに言いました。

「そうだ。できたらでいいから、宅配便が来たら荷物を受け取っておいてね」
「うん。できるよ」
「しっかり、お家を守ってね」
「まかせて! いってらっしゃい」

ママが着飾って出かけた後、あずみは、ママの言うことを守ってドアの鍵をしっかり閉めます。
リビングで一人で遊んで、ママの作ったご飯をお腹がすいたら食べて、食べ終わったら片付けます。
遊んだおもちゃも綺麗に自分で片付けることができます。
とてもしっかりしているあずみは、まだとってもちっちゃいけど、何でもできるのです。
あずみは、思います。

――今日この、お家を守るのは、あずみしかいないんだっ! がんばるぞ!

ピンポーン。チャイムの音。
お外には宅配便のお兄さんが荷物を届けにきたみたい。
あずみは、すぐに外と話すことができる電話を取って聞きます。

「どちらさまですか?」

すると、玄関に立つお兄さんは言います。

「宅配便ですー荷物を届けに来ました」

変な人では無いので、あさみはドアを開けました。
宅配便のお兄さんは、おっきな荷物を玄関に置くと立っているあずみに言います。

「じゃあ、インカンをもらっていいですか?」
「えっ!?」

あずみは、それを聞いてびっくりして角に隠れて言いました。

「駄目ですっ! ゲンカンはあげませんっ!!」
「え!? いや、ゲンカンじゃなくてさ……」

ママも知らなかった重要な事。あずみは、どうやら印鑑の事を知らないみたい。
〝印鑑〟の事を、なんとなく似てる言葉から〝玄関〟の事だと勘違いしてしまったのです。
怯えるあずみに、困ったお兄さんは、言いました。

「お嬢さん、お母さんとお父さんは、今お出かけなの?」

必死でお家を守る責任があるあずみは、答えます。

「今日はあずみだけなのっ! はやく荷物を置いて帰って!」

すると、困った困った宅急便のお兄さん。
今にも泣き出しそうな、あずみ。

「こまったなぁ。インカンをもらわないと帰れないんだけどなぁ」

するとお兄さんは、あずみが大事そうに両手で握るそれに気がついていいました。

「ひょっとして、それがインカンじゃないかな? それをちょうだい」

それを聞いてすぐにあずみは、手に持つそれを後ろに隠します。あずみの勘違いは深まる一方。
手に握るそれは大事に預かった玄関の鍵。
鍵をちょうだいと言われたあずみは、とうとう間違いなく玄関を取られてしまうと思ったのです。

「手の中の、ちょっとみせて……」
「ダメーーー!!」

あずみは、おもいを決してそのお兄さんを玄関の外に突き出すと、すぐにドアの鍵を閉めてしまいました。
さすがに戸惑う宅急便のお兄さん。
その後も玄関のまわりをうろうろうろうろ。時々ドアをドンドンと叩き、チャイムを鳴らします。
勘違いしているあずみは、とってもそれが怖くて泣きそうです。

しばらくして、外から話し声がします。
宅急便のお兄さんは、電話で何か話しているみたい。静かに聞こえる声。

「ええ……小さな女の子一人でハンコもらえなくて……とりあえず、どうしようもないんで、戻ります」

しばらくして、仕方なさそうにお兄さんは車に乗って帰っていきました。
ママが家に戻ったのは、それから夕方になってから。
あずみは、帰ったママに駆け寄って抱きつきます。
置いてある玄関の荷物を見てママは、あずみにいいました。

「あら、上手に受け取れたのね、偉いわねっ」

しっかりお家を守ったあずみはいいました。

「うん。ママ。ちゃんとゲンカンは守ったよ!」
「ん? ゲンカン?」

ママは嬉しそうにあずみの一人きりのお留守番の話を聞きます。
いろいろ聞いて事情を察したママは、大笑いをしてあずみに言います。

「あはは、それ聞き間違い」
「ききまちがい?」
「ちゃんと覚えなきゃね。あずみ、荷物を受け取ったらハンコを押すの」
「ハンコ?」
「そうよ。ちゃんと受け取りました、ありがとうって押してあげるのよ」
「そうなんだ。わかった」

それを聞いたあずみはホッとしました。本当に玄関を取られてしまうと思っていたからです。

「これが印鑑よ。今度はちゃんとできるといいね」
「うん」
「今度、お兄さんが来たら、正直に謝れるといいね」
「なんで掃除機に謝るの?」
「あはは。違うわよっ。〝正直〟にっていったの」

ママは、あずみの聞き間違いや、思い込みを一つ一つ正しては、小さなあずみの頭をなでる。
それを見て、受け取った荷物もなんだか笑ってるみたいに楽しそうに。
あずみの成長と共にその蓋開く。

これはちょっとした聞き間違いのお話。
次はしっかりお留守番できるいいね。




――おしまい。





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